2022.07.27 Wed.
住宅ローンで失敗しない「ボーナス払い」の考え方

住宅ローン返済でボーナス払いに頼るのはNG?
今回は住宅ローン利用の際のよくあるお話を一つご紹介させていただきます。
不動産会社などのチラシを見ると「35年、月々の返済は約63,000円から」なんて表記を見かけることがありますね。
一見すると「毎月6万円ぐらいなら購入できそう」と思いがちですが、よく見てみるとチラシの下の方に小さく記載があります。
- ボーナス払い/年2回/300,000円
つまり年2回、ボーナス払いで30万円を支払うことによって、毎月6万円ぐらいの支払いになるという返済計画になっています。
こういった表記を見ると、毎月6万円ぐらいだけで購入できそうな錯覚を起こしやすく、とても紛らわしい表現だと思います。
もし仮にボーナス払いをしなかった場合、毎月の返済額は「約63,000円」ではなく「約113,000円」となりますので、実は毎月5万円もの差があることが分かります。
ちなみに「ボーナス払いをした方が、返済は有利になるのでは?」と思う方もいるかもしれません。
それでは「ボーナス払い有り」と「ボーナス払い無し」がどのぐらい違うのかを、簡単に比較してみたいと思います。
ボーナス払い「有り」と「無し」を計算してみると…
まず、住宅ローンの借り入れ条件は以下のように設定します。
<住宅ローンの条件>
- 住宅ローンの借入金額は4000万円です
- 返済期間は35年間です
- 金利は全期間、1%のままで試算します
①1年間の返済額➡ボーナス払い有り
- 月々の返済額=63,001円
- ボーナス払い=300,000円/年2回
- 1年間の返済額=1,356,012円
②1年間の返済額➡ボーナス払い無し
- 月々の返済額=112,914円
- ボーナス払い=無し
- 1年間の返済額=1,354,968円
比較してみると、①ボーナス払い有りの方が1年間の返済額は1044円も多くなっています。
「あれ?ボーナス払いをした方が返済が有利になるんじゃないの?」と思われた方も多いのではないでしょうか?
次の章では、この辺りを詳しく見ていきたいと思います。
ボーナス払いのデメリットとは?
ボーナス払い「有り」を選ぼうとする方の多くは、少しでも住宅ローンの返済を早めたいという想いがあるからだと思います。
ですが、実はボーナス払いは「返済を早める」ものではない、という事をご存じでしょうか?
実はボーナス払いは「月々の返済額を減らす」のが目的ですので、返済を早めたい人が選択するものではありません。
そして、ボーナス払いには2つのデメリットがあります。
まず1つ目のデメリットが「最終的なトータル返済額が下がらない」という点です。
先ほどの章では、ボーナス払い「有り」「無し」の1年間の支払い額を比較してみました。次は、同じ条件で35年後の住宅ローンのトータル支払額まで見ていきたいと思います。
<住宅ローンの条件>
- 住宅ローンの借入金額は4000万円です
- 返済期間は35年間です
- 金利は全期間、1%のままで試算します
①35年間のトータル返済額➡ボーナス払い有り
- トータル返済額=47,460,137円
- 支払った利息額= 7,460,137円
②35年間のトータル返済額➡ボーナス払い無し
- トータル返済額=47,423,753円
- 支払った利息額= 7,423,753円
いかがでしょうか?結果として①ボーナス払い有りの方が支払った利息額が多くなるため、トータル支払額が多くなってしまっています。
これを見ていただいても分かる通り、ボーナス払いは最終的なトータル支払額が多くなります。ですので、ボーナス払いはあくまで「月々の返済額を減らす」のが目的であり、返済自体が有利になるわけでは無いのです。
2つ目のデメリットとは何か?
2つ目のデメリットとは「ボーナス頼みの返済になりやすい」という点です。
仮に年2回、300,000円のボーナス払いを選ぶことによって、本来は月々が約11万円の支払いになる住宅ローンを、月々が約6万円の返済にできたとします。
ですが、それは『今の金額で今後もずっとボーナスをもらえる』ことが前提になっています。
35年の返済期間で住宅ローンを借りたとしても、はたして35年間ずっと変わらずに同じボーナスの金額をもらい続けることができるのかを冷静に考えてみる必要があります。
そして、特に気を付けて頂きたいのが『毎月の貯蓄はできていないが、ボーナスの時だけは貯蓄できている』というご家庭です。
ボーナスが入った時しか貯蓄ができていないのと、さらにはボーナス時に高額なお買い物をしたりなど、いわゆるボーナスで家計の帳尻を合わせるようなやり繰りのご家庭です。
こういったご家庭がボーナス払いで住宅ローンを組んだ場合、家計が維持できなくなってしまう可能性が高くなります。
ボーナス払い以外の選択肢とは!?
ちなみにですが、住宅ローンの返済を早める手段として「繰り上げ返済」という方法があります。ボーナス払いと比べると、以下のような違いがあります。
<ボーナス払いの特徴>
- 返済する時期 ➡ 決められている(例えば年2回、6月と12月など)
- 返済する金額 ➡ 決められている(借入時に設定する)
<繰り上げ返済の特徴>
- 返済する時期 ➡ 自分で決めれる(いつでも可能)
- 返済する金額 ➡ 自分で決めれる
簡単に言えば、「繰り上げ返済」は返済の時期や金額を自分で自由に決めることができます。※ただし、金融機関によってはルールが定められています。
そして、先ほど「ボーナス払いは返済を早めるものではない」と解説しましたが、「繰上げ返済」に関しては返済を早める方法になりますので、上手く取り入れることで効率的に住宅ローンが返済できます。それでは例を挙げてみたいと思います。
繰上げ返済は2種類の方法がある!?
まず例を挙げる前に、繰り上げ返済には実は2種類の方法があり、それぞれ選択できるようになっています。
それが「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類です。
例えば住宅ローンを借りた2年後に100万円が貯まったので、住宅ローンの返済を減らすために「繰り上げ返済」をするとします。
100万円を入れることで当然住宅ローンの返済が小さくなりますが、その時に「期間を短くするのか?」「毎月の返済額を減らすのか?」を選択することができます。
まず「期間短縮型」のイメージですが、下の図をご覧いただきたいと思います。
2年目に100万円を入れることで、住宅ローンの元金が小さくなります。
それにより、当初設定していた返済期間の420回払いが、353回払いに短くなります。
繰り上げ返済で入れた100万円によって、約67回分の支払いが無くなりました。
続いて「返済額軽減型」のイメージを見ていきます。
同じように、2年目に100万円を入れることで、住宅ローンの元金が小さくなります。
ただ、420回の返済期間は変えずに、毎月の返済を減らしていく方法になります。
毎月の返済額が38,485円でしたが、100万円を入れたことによって34,572円に減額されています。
繰り上げ返済、どちらが有利!?
「期間短縮型」と「返済額軽減型」を選択する場合、まず考えておきたいのがトータル支払額はどちらが有利になるのかという点です。
それでは同じ条件を元に比較をしていきます。
<住宅ローンの条件>
- 住宅ローンの借入金額は4000万円です
- 返済期間は35年間です
- 金利は全期間、1%のままで試算します
- 5年目の時点で300万円を繰り上げ返済します
①期間短縮型➡5年目に300万円を入れる
- トータル返済額=46,414,626円
- 削減した利息額= 1,009,127円
②返済額軽減型➡5年目に300万円を入れる
- トータル返済額=46,934,937円
- 削減した利息額= 488,816円
いかがでしょうか、「返済額軽減型」よりも「期間短縮型」の方が約52万円も利息が削減できています。
結論としては、やはり住宅ローンは借り入れ期間が長いほど利息が発生しますので、できるだけ期間を短くすることが返済を早める大事なポイントになります。ただ、ご家庭の状況によっては、毎月の返済を抑えることが優先されるようなケースもあると思いますので、繰り上げ返済を行う際は上手に使い分けていただけたらと思います。
住宅ローンの返済こそ長期的な目線で考えよう!
ここまでお読みくださいましてありがとうございました、ボーナス払いの特徴や、返済を早める繰上げ返済について、少しでも理解を深めていただけたら嬉しく思います(*^^)
ボーナス払いを組み込んだ住宅ローンは毎月の返済が安く見えますので、なんとなく返済していけそうな気になるものです。
ですが、今現在のボーナスがずっと支給されるという保証はありませんし、企業を取り巻く状況も変わり続けていくことを考えると、やはりボーナス払いに頼った返済はお勧めできません。
住宅ローンは借り入れする金額が大きいので、返済も長期間になることがほとんどです。だからこそ、将来のライフプランをふまえて身の丈に合った住宅ローンを選ぶことがとても大切だと思います。
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